私だけの王子さま
スタートライン
―――どのくらい、経ったのだろうか?
時間を忘れてしまうほど、
私の心は満ち足りていた。
「ねぇ…委員長?」
「ん?」
「さっき…
どうして‘ごめん’って言ったの?」
「あー…」
委員長からの告白に気をとられていて、すっかり聞くのを忘れていた。
すると、委員長は、再び私の身体を離し、海に視線を向けながら小さな声で何かを呟いた。
「……だよ」
「え?何…聞こえなかった」
横から見ていても分かる。
委員長の真っ赤な表情。
こんな顔を見るのは、何回目だろう…?
普段は、落ち着いた雰囲気の委員長だけに、私の前で、色々な表情を見せてくれるのが嬉しい。
「ねぇ…何?」
私が、委員長の顔を覗き込むと、委員長は軽くため息を吐いた。
「だから…
本当は、今日俺から言おうと思ってんだよ。
なのに…相原に先に言われちゃって…。
言わせちゃって…ごめんって意味で…」
そう言って、委員長は下を向いてしまった。
それを見たら、何だか急におかしくなって、私は、笑いを堪えるのに必死だった。