私だけの王子さま
そして――…
しばらくしてから、私は、鞄の中に入れておいた物を取り出した。
本多さんからの、大切な大切な贈り物。
「委員長、これ見て?」
両手に収まるくらいの小さな王子さまとお姫さま。
「これって…」
委員長は、すぐに気が付いたようだった。
「うん…
本多さんに手紙と一緒に貰ったんだ。
大切な人と結ばれますようにって」
委員長の前で‘大切な人’と口にするのは、何だか照れてしまい、私は、はにかむように笑った。
そんな私を見て、委員長は言う。
「…本多さんらしい、
贈り物だね」
私は、小さく頷いた。
この夏の、様々な出来事を振り返りながら――…。