私だけの王子さま
「帰ろっかな……」
いつも遅くなる時は、一応家に連絡していたが、今日はそれさえもしていない。
だからきっと、家族も心配しているはず。
鞄から携帯電話を取り出してみると、案の定、自宅からの着信が何件もあったことが分かる。
ついでに時計を見ると、もうすぐ午前0時になるところだった。
今日は……とにかく疲れた。
身体がというよりも、心が参ってしまったのだろう
とりあえず、家に帰って落ち着きたい――。
そう思って、座っていたブランコから立ち上がった時だった。
「相原……?」