私だけの王子さま



「なっ……泣いてないし!」


委員長の瞳があまりにも真剣だったから、慌てて顔を背けた。


こういう時、強がっていつも嘘をついてしまう。
そうすることで、自分にバリアを張ってきた。


それはきっと、私の弱さの現われ。


でも、どうせ私の価値なんて外見しかない。
だから、心まで覗こうとしないで欲しかった。



それなのに……。



「相原、嘘つくの下手すぎっ!」

「なっ!?」

「言っとくけど、泣いた跡、ばっちり残ってるから。
それに、こんな夜中にこんな所に一人でいるなんて、何かあったって思うのが普通だろ?」

「っ……」


……確かに、その通りだ。


いつもの私だったら、きっとまた言い返していただろう。
「うるさいな!」とか「アンタには関係ないでしょ」とか……。


だってそれが私の生き方だったから。
そうすることで、誰かと深くつながることを避けていたから。



でも、どうしてだろう?



彼になら、


委員長になら、


正直な自分を出せるような気がした。




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