私だけの王子さま
「ほとんど話したことなかったのに、優しくしてくれるんだね」
――そう。
私を見つめる委員長の瞳が、声が、とても優しかったんだ。
こうして誰かのことを、カッコ良い、悪いの基準以外で見るのは、すごく久しぶりな気がした。
「……やっぱり、何かあったんだろ?」
委員長はフッと微笑むと、私が座っていたブランコの隣に腰を掛けた。
「相原が嫌じゃなければ、話聞くよ?」
その、ひとつひとつの言葉が、温かくて。
委員長の人柄を表していた。
何もかも受けとめてくれそうな雰囲気。
私……甘えてもいいのかな。
今まで出せなかった自分の気持ち、さらけだしてもいい?
「相原……?」
黙り込んだ私に、再び優しい声が降ってきた瞬間、
何時間もかけて、せっかく落ち着いた涙が、
またしても
溢れ出していた……。