私だけの王子さま
一通り話し終わった後、委員長は穏やかな口調で言う。
「確かに、人を外見だけで判断するのは違うと思う。
でも、相原は今日、そのことに気付くことができただろ?」
私は、涙を拭きながら、静かに頷いた。
「だったら、大丈夫。
大切なのは、これからだと思うよ」
――ひとつひとつが、心に響いてくる言葉。
「今すぐ考え方を変えろって言うのは無理かもしれない。
でも、これから誰かと関わる時は、その人の気持ちや性格も大事にしてあげよう?」
――優しさが溢れる瞳。
「分かっ……た。今度っ……からは……ちゃん……とっ」
必死で涙を止めようと、何度も鼻で息を吸う。
「大丈夫。いつかきっと、今日の涙は無駄じゃなかったって思う日が来るよ」
――――もしも今日、委員長に会っていなかったら、私はどうすればいいか分からずに、自分を見失っていたと思う。
「委員……長っ!ありがっ……とう!」
委員長の目を見て、なんとか笑顔を作る。
きっと、涙で化粧も剥がれ落ち、ひどい顔になっているはず。
でも、委員長は穏やかに笑い、私の頭にポン手を置いた。
「帰ろう?送ってく」