私だけの王子さま
「まぁ……ね」
私は特に照れもせず、平然とした顔で答える。
すると麻智は、羨ましそうな表情を浮かべながら、
「柚季は可愛くて、スタイルも良いからねぇ。
少しでいいから分けて欲しいよ」
と呟いた。
麻智には彼氏がいない。
だから、私に彼氏ができるたびに、今みたいなことを言う。
でも、その発言に対する私の返事もいつも同じだった。
「いやいや、全然そんなことないって!!
じゃあ、私待ち合わせしてるから!カラオケまた誘ってね!」
若干、愛想笑いを浮かべながら、私は麻智や七菜たちに手を振って、学校をあとにした。
可愛くて……か……。