私だけの王子さま
翌日、目を覚ました時には、お昼を過ぎていた。
その後、昨日のことで母親に説教をされ、いろいろと準備をしてから麻智の家に向かったうと、すでに3時を回っていた。
チャイムを押すと、家の中からパタパタと走って来る音が聞こえた。
訪れたのが私だと分かっていたらしく、すぐに開いた扉から麻智が顔を出した。
「いらっしゃい!」
麻智はいつも、明るい笑顔で私を迎えてくれる。
「ごめん、遅くなって。自分から声かけたのに……」
「はは。分かってるって!おばさんに怒られてたんでしょ?」
さすが、麻智。
うちの母親のことまで、よく理解している。
……まぁ麻智じゃなくても、今回に限っては予想がつくかもしれないけど。
「もしかして、今日誰もいないの?」
中に入った時、やけに静かだったので聞いてみた。
いつもなら、おばさんや弟くん、たまに弟くんの友だちまでいて、賑やかな声がしているはずだ。
「うん、今日はたまたまね。
みんな出かけてるんだ」
麻智はそう言うと、私を自分の部屋に通してから、お茶を入れにキッチンへ向かった。