私だけの王子さま
その場に、少しの沈黙が流れただけでも緊張してしまう……。
そう思ってると、突然「あはは」と麻智が笑い出した。
「ちょっと柚季、何言ってるの?
今の言葉のどこが‘変なこと’な訳?」
「え……。だって……」
麻智が驚いてたから……。
でも、私の予想はどうやら外れたらしい。
「私、柚季が珍しく気を遣うようなことを言うから、びっくりしただけだよ?」
「あ、そうだったんだ」
……良かった。
予想していたこととは違う事実にホッと胸を撫で下ろす。
すると麻智は、とても穏やかな声で、諭すように言った。
「ねぇ、柚季?‘驚いた’表情と、‘傷付いた’表情は違うんだよ?」
「え――……?」
その言葉に、さっきの麻智以上に大きく目を見開いた。
――麻智は、鋭い。
私の態度を見ただけで、考えていたことを見抜いてしまう。
私とは、正反対だ――。