私だけの王子さま
その時、頭にフッとある疑問が浮かんだ。
それは、麻智の今の言葉。
ゆっくりと言った。
まるで、私に欠けているものが何なのかを、知っていたかのように。
「もしかして、麻智……」
気付いてた……?
私が今まで、人をどのように見ていたのかということ。
気付いてたの――?
「もうっ!侮らないでよ。何年アンタと親友やってると思ってるの?」
「麻智……」
本当は気付いてたのに、知らないフリをしてくれていたんだ。
私が、自分で気付くのを、待っていてくれたんだね……。