私だけの王子さま
麻智には、「そんなことない」なんて言ったけど、実際は違う。
私はそれなりに容姿は整っているし、人間なんて、外見さえ良ければ構わないと思っている。
よく好きなタイプは?という質問に、「外見より中身」って答える子がいるけど、そんなの偽善だ。
いくら性格が良くても、外見が悪ければ平気で切り捨てる。
そして、外見に似合わない行動をとれば突き放す。
――おとぎ話に出てくる王子様だってそうだ。
自分はカッコ良くて、相手のお姫様は美しい人ばかりを選ぶ。
私は今までに、何人もそういう人を見てきた。
男も女も同じ。
顔さえ、スタイルさえ良ければ、他には何も要らない。
ただ、人形のように微笑んでいればいいだけ。
今の彼氏だってきっと、そう思って私と付き合ってる……。
――そんなことを考えているうちに、待ち合わせの公園に着いた。
相手はまだ来ていないらしく、何人かの子どもが遊んでいる姿しか見えない。
私は、近くにあったベンチに座って待つことにした。