私だけの王子さま
それから私たちは、一つの約束をした。
‘もう絶対に、隠し事はしない’
何があっても、麻智にだけは話す。
誰よりも先に、麻智にだけは――。
「……あ」
ふと、麻智にまだ話していないことがあったと思い出す。
「ん?どうしたの?」
そう尋ねる麻智の目は、さっきの涙のせいで、少し腫れていた。
「あのね、この話したの、麻智が初めてじゃなかったんだ」
それは、昨日の委員長のこと。
私に、麻智と話す決意をくれた人。
すごく助けられたはずなのに、過去のことを話すのに精一杯ですっかり忘れていた。
「え、そうなの?」
麻智は意外そうな顔をしていた。
でも、それも当然のことだと思う。
麻智には、私が他人とうわべだけの付き合いしかしていなかったことを、話したばかりなのだから。
「……うん。あのね?昨日の夜、一人で公園にいたら、委員長に会ったんだ」
私は、昨夜の光景を頭に浮かべながら、委員長との出来事を一つ一つ、話しはじめた。