私だけの王子さま
第3章 落ち着く場所
鳴らない電話
それから、約一週間。
8月に入り、窓から差し込む日差しも一段と強さを増していた。
「あっつー……」
なるべくエアコンを使うのを避けようと頑張ってたけど、もう限界。
部屋の窓を閉め、リモコンのボタンを押す。
‘ピッ’
短い音と共に、エアコンが動き始めた。
……と言っても結構古いエアコン。
涼しくなるまでは時間がかかりそうなので、私は暑さを紛らわそうと携帯電話を手に取った。
「着信ゼロ……か」
ここしばらく、私の携帯は暇を持て余している。
時々、麻智や七菜から‘遊ぼう’とか‘何してる?’といったメールが来るくらいで、あとは今日のニュースのメルマガばかりだった。
これが華の女子高生の夏休みなんて、恥ずかしい。
「はぁ……」
ベッドに寝転び、深いため息をついた。