私だけの王子さま
プルルルル……
プルルルル……
握りしめていた携帯が、突然震えだした。
もしかして……。
‘委員長かもしれない’
そう思った私は、ガバッとベッドから起き上がり、ドキドキしながら携帯の画面を開く。
そこには……。
【着信 麻智】
そう、表示されていた。
「なんだ……麻智か……」
麻智には申し訳ないけど、思いっきり肩を落としてしまう。
依然として、鳴り響く着信音。
「もしもし……?」
“もしもーし!柚季?”
「うん」
“どした?なんか元気ないよー?”
麻智は相変わらずハイテンションだった。
時々、悩みがないのではないかと思うくらいだ。
「ううん。そんなことないよ!
ただちょっと眠かっただけ」
麻智にはすぐにバレるような下手な嘘でごまかす。
「ふーん……?」
案の定、怪しむような声が耳に届いた。