私だけの王子さま


プルルル……

耳に届くのは、規則正しい機械音のみ。


1回、2回、3回……。


やっぱり、出る気配がない。


せっかく勇気を出してかけたのに。

私の想いは、委員長には届かないのかな?



10回目の音が鳴り終わり、そろそろ諦めようとボタンに手をかけた。




その時――。


突然、聞こえていた機械音が止まった。




“……もしもし?”



それは、数日ぶりに聞く委員長の優しい声。


それだけで、私の心臓が大きく跳びはねた。


「もっもしもしっ!あのっ私……っ



相原です……けど……」





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