私だけの王子さま
「遅いなぁ…」
私は腕時計を見ながら呟いた。
すでに、約束の時間を5分ほど過ぎている。
私の中で、委員長は遅刻をしないというイメージがあったので、なかなか姿を現さないことに驚いていた。
…それにしても、朝だというのに蒸し暑い。
天気予報では、今日も真夏日だと言っていた。
最近はずっと、そればかりだ。
私は、雲一つない空を見上げながら、そんなことを思っていた。
「相原ー!!」
遠くから、私を呼ぶ声がする。
その方向に目をやると、大きく手を振りながら走ってくる委員長の姿が見えた。
久しぶりに見る委員長は、私服を着ているせいか、雰囲気がいつもとは少し違う。
でも、優しい声と明るい笑顔は、全く変わっていなかった。
「ごめん!遅くなって…」
息を切らしながら、誤る委員長。
それが、とても可愛らしく思えて、自然と笑みがこぼれていた。
「おはよう、委員長!」
私は、満面の笑みでそう言った。