私だけの王子さま
第4章 新しい経験
彼女の正体
「………委員長?」
「ん?」
「私と一緒に来たかった場所って、ここなの?」
「そう、ここ」
そこは、さっきまでいた公園から、10分ほど歩いた場所。
昨日、路上ライブをやっていた所のすぐ近くであり、ちょうど私が委員長を見失ったあたり。
今、私の目の前に建っているのは、【あおぞら苑】という比較的新しそうな老人ホームだった。
そして、その隣にあるホームの広場には、大きな字で‘あおぞら苑 夏祭り’と書かれた入り口が作ってある。
「ま、とりあえず中入ってよ」
「え?勝手に入ってもいいの?」
「大丈夫。相原のことも話してあるから」
‘話してある’って…。
委員長が何を考えているのか全く分からなかった。
こんな朝早くに、ここで何の用があるというのだろう?
スタスタスタ…
委員長は、そのまま堂々と中へ入っていく。
「あっ!待って!」
私は、訳も分からないまま、慌てて委員長の後を追った。