私だけの王子さま


その後すぐに、別の女性職員がお茶を持って来てくれた。


カチャン、カチャンと、テーブルにお茶が並べられていく。


職員が出ていくと、すぐに委員長が喋り出し、私に花梨さんを、花梨さんに私を紹介してくれた。


花梨さんのフルネームは、‘岡野花梨’というそうだ。


年齢は、私よりも6つ上の23歳で、このホームで働いて2年目らしい。


とても明るくて、話しやすそうな雰囲気の持ち主だった。



私と花梨さんは、お互いに挨拶をし、握手を交わした。


委員長とは、どういう関係なのかが気になっていたけれど、もちろんこの場で聞くことなどできるはずもない。


でも、それは、委員長の話を聞いているうちに、だんだん分かってきた。



「―――俺ね、一年くらい前から、ここでボランティアさせてもらってるんだ」


「ボランティア?」


予想もしていなかったことだったので、私は、思わず聞き返していた。


「うん。親戚の伯母さんからの紹介で、週に2、3回来させてもらってる」


「へぇ…」


一年も前から続けているなんて、びっくりした。


さすが、委員長って思う。



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