私だけの王子さま
その時、私の頭にフッと思い浮かんで来たことがあった。
委員長があの夜に、口にしていたこと―――。
‘バイトみたいなもん’
もしかしたら、このことだったのかもしれない。
そして、昨日見た委員長と花梨さんのツーショット。
二人を見失った場所の近くには、このホームがあった。
二人の仲良さそうな様子を見て、付き合ってるんじゃないかと思っていたけれど。
職員とボランティア、ただそれだけだったのかもしれない。
きっと、何か買い出しにでも行っていたのだろう。
委員長の謎が、少しだけ解けていくような気がした。
「それで、今日相原に来てもらった理由なんだけど…」
委員長が私を見て言った。
そうだった。
今までの話から、委員長がここにいる理由は分かる。
でも、どうして私を連れて来たのか。
委員長と花梨さんの関係ば気にしてばかりいて、すっかり忘れていた。
私は、委員長をじっと見つめ、次の言葉を待った。