私だけの王子さま
自慢の彼女
ウィーン……
炎天下でしばらく停まっていた車は蒸し暑かったので、車の窓を開けた。
でも、入ってくるのは生温い風だけだ。
それがまた不快指数を上げて……
「はぁ……」
思わず、ため息が出てしまう。
どうやら私は、この後非常に面倒くさい所に行かなければならないらしい。
それは……遡ることおよそ5分前のこと。
これからどこに行くのかを尋ねた私に、アキラは平然とした顔でこう言った。
「今日、俺のサークル仲間にお前のこと紹介するんだよ。」
「……は?」
あまりに突然のことに、私は目を見開いたまま固まった。
紹介……ね……。
きっとほとんどの人はこの言葉に引っ掛かることなど何もないと思う。
彼氏の友だちに会うのなんて、普通のことだし。
でも、なんとなく嫌な予感がしたんだ。
普通とは違うことが、起きるんじゃないかって。