私だけの王子さま
「柚季ちゃんとは、今日初めて会ったけれど…。
あなたはきっと、とても真っ直ぐな子だと思うわ」
「え?」
本多さんのその言葉に、私の胸がチクリと痛んだ。
―――違うよ、本多さん。
私は、真っ直ぐな人間なんかじゃない。
頑張って変わろうとしているけれど。
一度、染まってしまった心の闇が、元通りになるのはたぶん難しい。
それなのに。
本多さんは、穏やかな口調で言ったんだ。
「大丈夫よ。
柚季ちゃんなら、きっと、
素敵なお姫さまになれるわ」
そして最後に、
こう付け加えた。
「夢を…
舞が叶えたかった夢を…
あなたに、預けてもいい?」って――…。
私の両手を握って。
今までとは違う、強い眼差しで。
私は、そんな本多さんから、目を反らすことができなかった。
できなかったんだ―――。