私だけの王子さま
「よく、テレビの特集とかで、高齢者介護のことやってるじゃん?単純だけど、俺、それを見てすごいなって思ったんだ。
ただ単に、身のまわりの世話をするだけじゃなく、お年寄りの気持ちに寄り添って、辛い仕事なのにいつも笑顔で接してて。
それって、誰にでもできそうで、実はすごく難しいことだと思う」
「うん…」
確かに、私も今日ホームの職員を見て、同じことを思った。
たくさん仕事があって大変なのに、嫌な顔ひとつせず働く姿。
どんなことにでも、真剣に取り組んで、絶対に手を抜いたりしない。
それに、常にいちばんに考えるのは、利用者であるお年寄りのことだった。
私は、そんな人たちを‘カッコいい’って、素直にそう思ったんだ。
今までは、外見だけでカッコいい、悪いの判断をしていたけれど…
本当のカッコ良さって、外見だけじゃ伝わって来ない。
委員長は、私よりもずっと前から、そのことを知っていた。
だから、あんな風に人の話を親身になって聞いてあげられるのだろう。
「俺さ、介護福祉士になりたいと思ってるんだ」
「介護…福祉士?」