私だけの王子さま



「うん。高齢者とか、障害者とか、介護を必要としている人のお世話をする国家資格」


「へぇ…そうなんだ」


だから、今からボランティアをして、勉強してるんだ…。



何か、差を感じてしまう。



「それって、取るの難しい資格なの?」


「ん?…まぁ、国家資格だしね。まずは、指定された学校で知識と技術を習得しないと」



しっかりと目標を持って、その実現のために頑張っている委員長。


私は、心からすごいって思った。


だって、私にはまだ分からなかったから。


自分が何をやりたいのかなんて…


全然、考えたことがなかったから。







でも委員長は、この時私に‘本当のこと’は話していなかった。


単純なのは、私のほう。


委員長が、介護福祉士を目指しているのには、



もっともっと、深い理由があったのに―――。



「相原は?何か夢とかないの?」


委員長が、そんなこと聞くから。



「んー…、私は、まだ…」


「そっか。まぁ、まだ焦る必要もないしな」



笑顔で、そんなこと言ってくれるから…。



「うん。ありがと」



全く、気が付かなかったんだ…。






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