私だけの王子さま
「じゃあ」
「うん」
委員長は、再び背を向け歩き出した。
だけど、何かおかしい。
私は違和感を覚えた。
何だろう?
確か、前にも同じことを思ったような…。
「あ…」
そう言えば…。
私は、麻智の言っていたことを思い出していた。
それはこの前、麻智の部屋で、委員長の家の場所を尋ねた時のこと…。
‘―――えっと、確か電車通学のはずだよ。ここの最寄り駅から3駅くらいの所だったと思うけど…’
私は、慌てて委員長が歩いて行った方向に目を向けた。
また、だ…。
また、駅とは反対の方向に歩いている…。
「委員長!!」
気が付いた時には、近所迷惑になるほどの大声を出して、委員長を呼び止めていた。