緑の風がそよぐとき
ソファに座り目を閉じる。
どれくらいそうしていたんだろう。
インターホンの音にはっと我に返った。
「ちーっす」
来客は倫太郎だった。
「田舎から送ってきたからおすそわけ」
倫太郎の持ってる段ボールにはナスやトマトがぎっしり入ってた。
「うわぁ、すごいね。おばさんにお礼言っといてね」
「真琴?」
「何?」
倫太郎はわたしの方をじっと見た。
ほんの短い間、視線が絡み合う。
「ご飯食べた?」
「まだ、だけど」
「おじゃましまーす」
そう言って勝手に家に上がり込む。