緑の風がそよぐとき
神社の鳥居をくぐり、いつものように社の前へ進む。
じっと社を見つめる。
ただじっと……。
何も考えたくない。
「何を願っているの?」
どこからその声が聞こえたのかわからなかった。
左右を見、後ろを振り返る。
桜の木の下に、ひとりの青年が立っていた。
目を引いたのはきれいな銀髪。
その銀髪から雫がしたたり落ちている。
そして色素の薄いグレーの瞳。
透き通るような白い肌。
こんなきれいな人がいるのかと、感心してしまう。
「何を願っていたの?」
青年はわたしをじっと見てそう言った。