緑の風がそよぐとき
この間のことも少し気になったし、倫太郎に付いて外へ出る。
「気をつけてな」
いつの間にか彬兄が玄関まで出てきていた。
「おう!」
倫太郎はニカッと笑い返事をする。
「真琴を乗せるんだから転けるんじゃないぞ」
彬兄の心配性が倫太郎に念を押す。
「転けるかよ!」
倫太郎は半ば呆れ顔で返す。
そんな二人のやり取りに思わず笑ってしまう。
玄関を出ると、倫太郎は「はい」ってヘルメットを渡してくれた。
「でも、後ろに乗せる人決めてるんでしょ?」
「あ……、えーっと、真琴は幼なじみだから特別だよ」
倫太郎は後ろを向いたままそう答える。
「あんたがそう言うなら」
「いいから早く乗れよ」
倫太郎はもう自分のヘルメットを被っている。
そんなことを言われても初めてのことで、ヘルメットもうまく被れない。
もたもたしてるわたしのところに倫太郎が来て、
「真琴ってとろいよなぁ」
と言いつつ、ヘルメットの紐を締めてくれた。