緑の風がそよぐとき

歩くことがこんなに楽しく感じるとは思わなかった。
小さな神社の存在に気付いただけじゃなく、春先ということもあってか季節を花や緑や風で感じることが出来る。

会社に入社して一年。
少しずつ仕事にも職場にも慣れ充実してると思ってたけど、季節というものをすっかり忘れてた。

歩くことで、そのことを思い出した。

目的地の神社に到着する頃には、すっかり汗をかいていた。
首にかけていたタオルで額を拭う。

そして、いつものように小さな社へ手を合わせ、お辞儀をする。
その時、

「マコト」

そう呼ばれた気がして、思わず振り返った。


< 5 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop