アクオー
トミーが来たのは、遅かった。

時刻は23時をまわっていただろう。

「こんばんは」

来ないのかと諦めかけた頃、彼女は現れた。

「やあ。今きたところだよ」

「優しいのね。大分、待ってたんでしょ?ごめんね」

トミーには嘘が通じない。

僕と同じ。他人の嘘に慣れ過ぎているから。

それが分かっていて嘘を吐くのは、少しキザだろうか。
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