アクオー
その日の夜も僕は、街中のあちらこちらを自転車にまたがり、死に場所を探していた。

枝ぶりの良い大木を見つけては、首を吊る自分をイメージし。

国道で大型トラックが走り抜けていくのを見ては、轢かれる自分をイメージして楽しんだ。

今から思えば、それはきっと擬似自殺なのだろう。

自殺をハッキリとイメージする事は、一種の恍惚感を味わえる。

正常な人間は違うのだろうか。

少なくとも僕は、そうだった。
< 3 / 61 >

この作品をシェア

pagetop