教え子の甘い誘惑
「まっ、とりあえず。一度話し合ってみることをオススメするわ。アンタ一度も彼とまともに話していないでしょ?」

「まっまあね。じゃあ早速今日の放課後にでも、彼を捕まえてみますか」

「ええ、頑張って」

「うん」

アタシは空になったコーヒーカップを涼子に渡し、保健室を後にした。

「それじゃ、またね」

「ええ、何かあったらまた来なさい」

涼子のこういうサバサバしたところが良い。

下手に粘着質になるよりも、こういうふうに1つ1つを区切ってくれた方が、心が楽だ。

―が、アタシは甘かった。

彼女がどうしてこんなに親切(?)な助言をしてくれたのか、深読みしていなかった。

アタシが去った後、涼子はカーテンが閉まっているベッドに向かって声をかけた。
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