Woman morbid fear
店に入ってとりあえず適当に何品か頼んだ
それから少し雑談していると
「水谷さん」
「はい?」
「初めてお会いした時に、水谷さん僕に怒りましたよね」
「すいません…」
「あ、違うんです、別に謝れって意味じゃなくて…
嬉しかったんです。」
「は?」
「僕は父が早くに亡くなってから、こんなにも早くあの会社の社長になりました。
でも、周りの人はそれから誰も対等に僕を見てくれない。どんなに間違ったことしても怒ってもくれないし、意見すらしてくれないんです。クビになるのが怖いから…
でもあなたが怒鳴ってくれて本当に感謝しています」
「いや感謝なんて、伊集院社長」
「…出来れば『伊集院社長』って言うのはやめてください」
「あ、ごめんなさい」
「あと水谷さんの方が年上なんですから、敬語はよしてくださいよ、ははっ」
「そう言っても取り引き先の社長ですし…」
「だって残念ですけど、あの企画の担当は前林さんなんですから、いいじゃないですか。少なくとも僕はあの怒鳴ったときの水谷さんが好きでした」
(好きって…しかも顔が真剣…(笑))
「わかったって、あはは」
「何でそんなに笑うんですか!」
「あはははは、だってなんか、今まではお偉い社長様って感じだったけど、急に年下って思えてきたんだもん、ははっ」