君と歩く未来
俺は悩んだ末、家から近い高校を受けることに決めた。てっきり、未来も同じ高校を受けると思っていた。
「あたしね、留学しようと思ってるの」
未来の突然の告白に驚いた。
「留学?」
「うん。ウィーンにね。三年になってから考えてた」
未来は言った。
「なんで?急に?」
「ウィーンで、音楽を学びたかったから。あとは・・・・・柊の近くにいるのが辛いから」
「えっ・・・・・」
未来の言っている意味が理解できなかった。
「だって柊、振り向いてくれないから。だから、留学するの。あっ、でも・・・・・私が柊を好きだってことは忘れないでね。それから、私が帰ってくるまで、彼女作っちゃダメだよ」
未来は笑っていた。無理をして笑っているように見えた。




未来は最後まで笑顔だった。
そして、ウィーンへと旅立った。




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