君と歩く未来
聞えてくる、柊の声と知らない女の子の声。夏姫は耳を傾けた。聞えてくる二人の声。よーく聞いていると、やはり告白。女の子が柊に告っている。
「好きなの。付き合ってほしい」
照れくさそうに言う女の子。
「ごめん」
謝る柊。
「好きな子がいるの?」
訊く女の子。
「いないけど・・・・」
否定する柊。
「夏姫ちゃんは?みんな噂してるよ。付き合ってるって」
女の子の言葉に、夏姫は唖然とした。
《私?!付き合ってる!?私と柊が?》
「付き合ってないよ。夏姫は友達」
柊は言った。
《友達・・・・か》
少し寂しい気持ちになった。
「じゃ、私とも友達になって」
なかなか諦めない女の子。少し黙って柊は言った。
「いいけど、自分のことフった男と友達になったら、君がつらい思いをするだけだと思うけど」
柊は、冷たく言い放った。女の子は、今にも泣きそうだった。そして、そのまま走り去ってしまった。


夏姫は、ただ呆然としていた。
初めて見た。あんな柊・・・・・



そのとき、声がした。
「おい」
夏姫は顔を上げた。そこには・・・・柊が立っていた。




《ヤバイ・・・・・》




< 8 / 105 >

この作品をシェア

pagetop