Monsoon Town
腕を組んで考え込んでしまったひまわりに、藤堂は笑いをこらえた。

「勘…と言うか、よく読んでるなって思ったんだ。

俺たちをよく見てるなあって思って」

笑いをこらえながら言った藤堂に、
「だって藤堂さん、陣内さんの前では自分のことを“俺”って言ってるんだもん。

どこかへ電話してる時は、“私”って言ってるのに」

ひまわりは言い返した。

「それだけよく観察していたら刑事になれるよ、ひまわり」

藤堂は我慢できなくて笑った。

笑った後で、
「そうだな、俺と陣内の関係は幼なじみなんだ」

ひまわりに言った。

「幼なじみ?」

そう聞き返したひまわりに、
「会長――陣内のじいさんなんだけど、その人の秘書を俺の父親がやってるんだ」

藤堂は答えた。
< 108 / 433 >

この作品をシェア

pagetop