Monsoon Town

令嬢と冷たいワイン

翌日、合鍵を使って藤堂は陣内の家のドアを開けた。

靴を脱いで家の中に足を踏み入れると、シン…と静かだった。

（まだ寝てるのか）

心の中で呟くと、藤堂はキッチンへと向かおうとした。

ふと陣内の寝室に視線を向けた時、ドアが開けっ放しなことに気づいた。

「おいおい」

そう呟きながら、藤堂は陣内の寝室に顔を出した。

「あれ？」

そこに陣内がいないことに、藤堂は疑問に思った。

（朝早くから出かける用事は特になかったはずなんだけど…）

けど、彼の姿はここにいなかった。

「あいつ、一体どこに行ったんだ？」

藤堂がそう呟いたその時だった。