Monsoon Town
「それで、朝まで一緒にいてくれたんです。

藤堂さんに変な誤解をさせちゃってすみません」

小さな躰をさらに小さくして、ひまわりは謝った。

藤堂はフッと笑うと、
「そうか、伝えてくれてありがとう」
と、言った。

「ホットケーキ、ごちそうさまでした」

「ん、ありがとう」

藤堂は空っぽになったひまわりの皿に手を伸ばすと、一緒に重ねた。


「うっぷ、気持ち悪い…」

会社に向かう車の中で陣内が呟いた。

「珍しいな、陣内が車酔いだなんて」

「ホットケーキのせいだ」

怒ったように言い返した陣内に、藤堂は笑いをかみ殺すのだった。
< 131 / 433 >

この作品をシェア

pagetop