Monsoon Town
キラリと光る薬指のシルバーリングに、そう言えば彼も既婚者だったと那智はそんなことを思った。

「そう、それはおめでとう」

東雲の穏やかな雰囲気は相も変わらずで、彼も一緒になって輪の中に参加した。

「三浦くーん!」

輪の中から、彼の恋人である冴子が呼んだ。

「今行きます!」

三浦は手を振ると、輪の中に入って行った。

那智は、1人蚊帳の外だった。

本当だったら、一緒になってお祝いの言葉をかけるのが当たり前だ。

こんなのは、いつものことである。

東雲の時も、若宮の時も、婚約した真希の時も…みんな、そうだった。
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