Monsoon Town
けど、今はそんな気分になれなかった。

何でなのかは、自分でもよくわからなかった。

また結婚する人が増えたから?

嫉妬しているから?

自分に出会いがないことにイラ立っているから?

どれにせよ、自分にはよくわからなかった。

「コラコラ、ちゃんと仕事をしないか」

そう言って輪の中に入ってきたのは、部長の西山だった。

自分と同じ独身なのに、彼はちゃっかりと輪の中に入ってなじんでいる。

「仕事が終わったら飲み会やるから、今は仕事をするぞ」

「はーい」

西山の一言で、それまで盛りあがっていた彼らは自分たちのデスクに戻った。

那智は複雑な気持ちを抱えたまま、自分のデスクに座った。
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