Monsoon Town
その日の夜。

ひまわりがクイズ番組を見ていたら、
「ただいま」

ドアの開く音と声がしたので、玄関へと足を向かわせた。

「おかえりなさい…あっ、藤堂さん」

玄関にいたのは、藤堂1人だった。

ひまわりはキョロキョロと首を動かし、辺りを見回した。

「どうした、ひまわり?」

そんなひまわりに、藤堂は声をかけた。

「陣内さん、いないのかなって思って」

シュンと、ひまわりはうなだれた。

それが子犬みたいで、藤堂はかわいいと思ってしまった。

「陣内は今日用事があるって出かけてる」

「あ、そうなんですか…」

「とりあえず、お腹が空いただろ?

すぐに作るから、テレビを見ながら待っててくれ」

うなだれる子犬――ひまわりの頭をなでると、藤堂はキッチンへと足を向かわせた。
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