Monsoon Town
「心配で近寄ったら、お前はグーグーといびきをかいて寝てるし…。

このまま道端でほったらかしにするのもよかったけど、誰かが警察に通報されると面倒だからおぶってやった」

「やったって…」

「何だ、ほったらかしがよかったのか?」

「違うに、決まってるでしょ!」

怒った那智に、陣内はクスッと笑った。

(あっ…笑った顔、かわいいかも…)

那智はそんなことを思った。

「おぶった以上は、お前を送るから」

「お前じゃないんだけど…」

聞こえるか聞こえないかの声で、呟いたつもりだった。

「名前がいいのか?」

聞こえていたのか、陣内が聞いてきた。
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