Monsoon Town
(さっきまで饒舌だったヤツが、いきなりどうしたんだ?)

耳を澄ますと、背中から寝息が聞こえた。

どうやら、寝てしまったようだ。

「――全く、世話が焼けるな…」

陣内はため息をつくと、呟いた。

倒れたり、怒ったり、しゃべったり、眠ったりと、本当に忙しい。

「俺の気も知らないで…」

そう呟きながら、陣内は彼女に教えてもらった家路を歩いた。

長い坂をのぼったところに、マンションはあった。

「部屋は、507号室…だったっけな」

そう呟きながらポストを見ると、正解だった。

止まっていたエレベーターに乗って5階で降りると、部屋まで歩いた。
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