Monsoon Town
その言葉に驚いて、那智は目を開けた。

チュンチュンと、すずめの鳴き声が聞こえていた。

まぶし過ぎる光が外から差し込んできている。

(――朝か…)

那智が躰を起こした瞬間、ズキンと頭が痛んだ。

「――痛ッ…」

そう言えば、昨日はかなり飲んだことを那智は思い出した。

それから陣内に出会って、おぶらされて、それで…と言うところで、那智はここが自分の家だと言うことに気がついた。

しかも、自分が今いる場所はベッドのうえである。

「――えっ、まさか…」

慌てて自分の身を確認すると、特に変わったところはどこにもなかった。

「――よかった…」

そのことにホッと胸をなで下ろしたら、
「酔った女を襲うほど、俺は飢えていない」

陣内の声が聞こえた。
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