Monsoon Town
突然聞こえたその声に、那智は飛びあがりそうになった。

「――えっ…?」

デジャヴ、と言うのだろうか?

夢の中でも同じ声を聞いたような気がする。

「わざわざ運んでやったのは誰だと思ってるんだ?」

その声に視線をむけると、
「――ウソ…」

陣内がいた。

自分の部屋に、陣内がいた。

「ウソ、えっ…?」

この状況に、那智は混乱した。

「本当に覚えてないんだな」

そんな那智に、陣内が呆れたと言うように息を吐いた。

「飲み過ぎて倒れたお前をおぶって、ここまで運んだんだ」

「あっ…」

そう言えば、そうだった。
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