Monsoon Town
その言葉に、ウソはないように思えた。

どうしてだかわからないけど、彼が口に出した言葉には裏が見えなかった。

「お前はモテないって言ってたけど、それは自分に自信がないからじゃないのか?

もったいないくらいにキレイな顔をしているのに」

陣内の手が伸びてきて、頬に触れてきた。

触れられた瞬間、那智の心臓がドキッ…と鳴った。

「唇、血が出てる」

指が唇に触れたかと思ったら、なぞられた。

ゾクゾクと、躰が震える。

心臓がうるさいくらいに早く鳴っている。

「もう少し、自分に自信を持て」

そう言ったのと同時に、陣内の手が頬から離れた。
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