Monsoon Town
「ただいま」

家に帰ると、いい匂いがしていた。

「おかえり」

迎えてくれたのはひまわりではなく、藤堂だった。

「…ひまわりは?」

陣内が聞くと、
「おかえりなさい、陣内さん」

ひまわりが顔を出した。

彼女のその姿に、陣内は目を疑った。

「どうしたんですか?」

ひまわりが首を傾げた。

彼女が藤堂の黒いエプロンを身に着けていた。

手には、フライパンとフライ返しが持っていた。

長い髪は、シュシュで1つに束ねられていた。

「ひまわり、お前…」

そう問いかけようとした陣内に、
「朝ご飯ができてますよ」

ひまわりが微笑みながら言った。
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