Monsoon Town

今日だけできた食事の誘いは３０件以上である。

その大半は、お局様時代に話しかけるどころか目もあわせようとしなかったヤツらばかりである。

男と言うヤツは、相手によって態度が変わる生き物らしい。

「桃井」

声をかけられたので振り向くと、課長の南野がいた。

「はい、何でしょうか？」

また食事の誘いだろうか？

いや、彼は結婚を控えているからそんなことはないはずだ。

「この書類、秘書課の方に届けてくれないか？」

南野がそう言って那智に書類を差し出した。

「あ、はい」

那智は書類を受け取ると、オフィスを後にした。