Monsoon Town
陣内は陽平と目をあわせると、
「一緒にいた女の子、ひまわりは親戚の子だ」
と、言った。

「ひまわり、すごい名前ですね」

そう言った陽平に、チクリと陣内の胸が痛んだ。

胸の痛みを隠しながら、
「ひまわりは、俺の祖父の遠い親戚の子だ。

訳があって、少しの間だけ預かってるんだ」
と、話を続けた。

「へえ、おじいさんの親戚の子ですか。

一応、血縁関係はあるんですね」

納得したと言うように返事をすると、陽平はアイスコーヒーをすすった。

そんな陽平を見ながら、陣内はポーカーフェイスが得意でよかったと心の中で思った。

我ながら、一瞬でわかりそうな見え見えのウソである。
< 222 / 433 >

この作品をシェア

pagetop