Monsoon Town
今日から2日宿泊するホテルの駐車場に、那智はいた。

「すっごーい!

超キレイなんだけど!」

歓声を耳で受け流しながら、那智はバスを降りた。

目の前に広がるのは、太陽に照らされてキラキラと輝いている大きな青い海である。

海からやってきた潮風がハーフアップにした髪を揺らした。

「デッケーな、さすが高級リゾートホテルだぜ!」

「このホテルって、社長の親戚がやってるんでしょ?」

「えーっ!

社長、マジで太っ腹じゃん!」

(へえ、そうなんだ)

あちこちから聞こえてくる声を耳で受け流しながら、那智は視線をホテルの方へと向けた。
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