Monsoon Town
「夏休みなのに、何で学校があるんだろうな」

「仕方ないだろ、出校日なんだから」

呆れたように言った陣内に、藤堂がたしなめるように言った。

「藤堂は相変わらずまじめだよなー」

「陣内がめんどくさがりなのもどうかとは思う」

「何だよ…」

その光景に、陣内は固まった。

「どうした?」

「あれ…」

陣内が指を差した方向に視線を向けると、1台のスポーツカーが止まっていた。

「どうかした?」

何の変哲もない、ただのスポーツカーである。

それが一体、どうしたと言うのだろうか?

「――母さん…」

陣内が呟いた。
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